男性が育児休暇を取得することが珍しくない時代となりました。それと同時に「パタハラ」という言葉もよく見るようになったと思います。正式名称は「パタニティ・ハラスメント」といい、パタニティは父性を表します。
パタハラとは父親になる人に対する嫌がらせや、育休取得の妨害や降格など不利益になるようなことを指します。
私の場合はそういった事はありませんでしたが、上の世代はどうしても育児の事は女性に任せているので薄い認識で何気ない言葉で「ん?」と感じてしまうものがあります。これ微妙にハラスメントになるかもしれないもののように思える言動もあります。
ということで、私が言われて腑に落ちなかった男性育休に関わる言葉を書き記していきます。これは愚痴ったりするものではなく、上の年代の方々には「こう言うとパタハラになってしまうかもしれない」という事と、育休をとろうとしている男性には「こんなこと言われちゃうかもしれないけど、たぶん悪気はないんだと思う」という事をお伝えできればと思います。
パタハラギリギリの言葉
「育休制度つくって最初に取得するのが男の君か~」
・・・男が第一号じゃだめなの?
会社の上層部の年代は大体50代あたりです。その年代の男性は子育ては女性がするものという認識を無意識にしており、育休の制度をどうしても女性が使うものだと考えている節があります。
悪気が無くてついぽろっと出てしまうのでしょうね。
「夫が育休とってなにをするの?わからないなぁ」
理由はどうあれ子育てに参加していないか、女性がするものと考えているので純粋にわからないのだと思います。
お子さんがいるのにそう思う男性は奥様にお聞きして、育児のやることの多さを確認してみるといいかもしれません。
「育休とったから戻ってくるときに資格取ってきなよ、せっかくだから勉強期間にしなよ」
いったい育休をなんだと思っているのでしょうか。仕事を休むことは確かですが育児はやることがいっぱいです。
ただ長期の休みをとることとはわけが違います。まぁ育児休暇をとる前は軽く「はい」と私も答えてしまいましたが、そんな暇どこにもないし時間も作るのに一苦労です。自分のペースで物事をやることが全く出来なくなりますので。
「奥さん実家帰らないの?家族に任せればよいのでは?」
今のご時世、親は親で高齢の祖父母の介護でいっぱいいっぱいです。健康で元気であればいいですが、80代90代ともなればどこかしら悪くなってきてますし、認知症で目が離せないかもしれません。
そんな中で里帰りしても我々の祖父母に赤ちゃんを見てもらえませんし両親の負担が増えるだけです。
「育休とらせてあげるからこの仕事引き受けてね」
当時、別プロジェクトで入ったばかりのプロジェクトメンバーが仕事をバックレて一切出勤してこない事件があり、困っていた部署がありました。そこで私が代打のメンバーとしてそのプロジェクトに入ってくれと言われたのですがそこが通勤3時間くらいかかる遠さだったのです。
身重の妻を置いて片道3時間の通勤をするのはなかなか万が一の事があったらどうしようと不安でなりませんでしたが、これも子供の為と思い引き受けました。
しかし妻曰く「育休を人質に取られてる感じがしてならない」とのことで、「確かになぁ、断ることはしようと思えばできたけど何とも言えない圧があってできなかったな」というのが後になって考えるとありました。
「君が休むことによって売上減るんだからそれをみんなで補填するので会社のみんなに感謝してね、他の人が困っていたら力になってよ」
それはおっしゃる通りではあります。復帰後は仕事も頑張りますという強い覚悟の上で育休を取得させていただきましたが、自分ではない人にそれを言われると結構、精神的にダメージを受けてしまいました。
「業務調整はちゃんとやってよ」
これもおっしゃる通りです。ただ、妻の体と赤ちゃんはいつどうなるか何が起こるかを完全に読み切ることは出来ません。もちろん現在参加しているプロジェクトのメンバーにもその旨は伝えており、了解は受けておりました。
これは予定を先回りして終わらせておくとか、緩いスケジュールにしてもらうかの事前の調整は必要ですが、言われてからやるのではなく言われる前にやっておかねばなりません。
言われる前にやったとしても言われたので「うーん」なのですがね。
育休への理解を深めないとパタハラに繋がる
理解がないままだと何気ない言葉が育休取得者をモヤモヤさせる原因になります。もう時代は違うのです、その認識違いから出てしまう言葉だと感じております。
子供は放っといても勝手に大きくなるわけではないですものね。昔であれば女性が育て、男性はほったらかして仕事だけしていたと思いますので、放っといても育っているように見えていたかもしれません。
でも現実は呼吸をさせ、栄養を与え、寝かせ、出たものを捨てて、身体を清潔にさせないと生きられないのが赤ちゃんです。例えば顔にティッシュがかぶさったりすると窒息するような、何かの小さなミスが文字通り命取りになるのです。
それをすべての人が認識する必要があるのではないでしょうか。
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